『木のいのち 木のこころ』

 昨年の晩夏、この本を紹介されて読み始めました。最後の宮大工と呼ばれた西岡常一・棟梁の、神社仏閣建築にかける情熱。その響きを、聞き書きの名手と言われる塩野米松氏が活字で紡いでいく。

〈天・地・人〉の巻から構成されるが、圧巻なのはやはり〈天〉の巻。神仏への礼拝、材木にする木々への畏敬、そして職人の魂が、臨場感あふれる関西の言葉で語られている。その中で最も印象に残ったことばはこれだった。

「神仏をあがめずして社頭伽藍を口にすべからず」(同書、130p)

 法隆寺の大工の口伝で、意味は「神仏を礼拝できなければ、神社建築や堂塔伽藍を語るな」ということ。報酬や名誉でなく、神の顕現、仏の現成のために建てる・・・その心がまえがなければ、宮大工である資格がないと教えている。他にも、社や伽藍の修理後を見ると、神仏を礼拝してやったか、それとも為政者に強要されて嫌々やったかが分かるというようなことも書いてあった。

 仕事に魂を込める意義を教えてくれる一冊。他の人にもお薦めしたい。

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「Smile to blue sky」

 好きなアーティスト、川嶋あいさんのことをウェブで検索したら、表題の曲を発見した。以前、千葉銀行のCM用に使われた応援歌的な曲で、今のところCD化はされていない・・・というのが惜しいほどだ。うらやましいぞ、千葉県民(笑)。(歌詞を載せたいが、著作権が発生するため、遠慮する)

 爽やかな青空のようなメロディ、がんばる人を優しく励ます詩を、川嶋さんの天使の歌声で歌われたら、どんなに落ち込んでいても勇気がわいてくるし、挫折を味わった人も、再び立ち上がることができるだろう。何より聴き手への愛が込められている。

 以前はラブソングが多かった川嶋さんだが、こんな曲も歌ってくれることを知ってますます好きになった。自分も落ち込んだ人を見つけたら、この曲を勧めてみたい。

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『Father&Son』

 ロックバンド、GLAYのアルバム曲。ラブソングでもなく、失恋ソングでもなく、父親になった人が、息子と自分の父親に贈る歌。GLAYと言えば、1996年~1999年のブレイクを皮切りに、今も活躍しているバンド。その歌の根底にあるのは「愛」なのです。愛といっても、恋愛感情ではなく、親が子を想う無償の愛。

 自分が10代の頃は、ラブソングや人生の応援歌を世に送り出してGLAY。思春期独特の情感を歌い上げてくれ、とても共感したのを覚えています(好きだった曲は「pure soul」と「BELOVED」)。そして30を過ぎた今、親(父親だけでなく母親も)の恩に気づくことが多くなり、そんなときにこの曲を思い出し、折を見つけて聴いています。

 自分の両親も、恋に夢中だったときを経て親となり、僕をはじめ3人の男の子を育ててくれました。どんなときでも、子どもたちを守り、育てることを一番にしてくれました。反抗したこともケンカしたことも、大人になる通過儀礼として大きな愛で見守ってくれました。自分もいつか――。

 そんな想いに浸りながら、夏の夜にこの曲を聴きたいと思います。

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無垢の予兆

「一粒の砂にも世界を 一輪の野の花にも天国を見、君の掌のうちに無限を 一時のうちに永遠を握る」(『ブレイク詩集』319」頁、ウィリアム・ブレイク著、岩波文庫)

 これはイギリスの詩人、ウィリアム・ブレイク(1757-1827)が綴った詩「無垢の予兆」の一部である。自分が編集に携わる宗教雑誌で、芸術についての特集が組まれ、そこで対談されたお二人の先達が、ブレイクについて語っておられたのが、彼の詩を知るきっかけとなった。

 ブレイクは生前は彫版師として生計を立て、詩人としては無名であった。が、後世の人間が彼の詩を発掘し、やがて出版される。日本にも訳本がわたり、芥川龍之介にも影響を与えたそうだ。

 そのブレイクの詩が、何故、宗教雑誌の芸術特集で挙げられたか・・・それは、冒頭の詩が示すように、何気ない日常に、聖地や天国を見ようとする心の働きが芸術表現の鍵であり、幸福な生活の第1歩だからである。

 一粒の砂に世界見いだせれば、あるいは雑草に分類されそうな一輪の野の花に天国を見いだせれば、常日頃顔を合わせる人の中にも光明を見いだせるし、いつもと変わりなく過ぎ行く時の流れにも、一期一会の煌めきを見いだせるのである。

 そして、その境地にたどり着くためには、聖地や天国を見いだした感動を、絵や詩で表現し、繰り返し感動を味わうのが効果的と言える。巧拙は関係ない、自分の感動した部分を表現すればいい。

 現代社会はとにかくせわしい。そんな中で幸運にもこの詩に出合えた。

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ピエール・エルメ・パリ

「マカロンに興味なかったけど、ピエール・エルメ・パリのマカロン食べてから、すごく好きになったんです」

 SMAPの香取慎吾さんが、テレビでこんなことを言っていた。その一言が頭にこびりつき、やがて好奇心が湧いてネットで調べてみた。

 ピエール・エルメとは、フランス出身のパティシエで、創作マカロンに情熱を燃やしているとのこと。マカロンコックの間に挟む中身によって、味や香りが多様に表現できるらしく、かつては種類が限られていたマカロンを、同氏は24種もバリエーションを開発したそうだ。(現在も、新作を積極的に開発中らしい)

「食べてみたいな」と思ったら、表参道にその店があったので、早速、次の休日買いに行った。

 おしゃれな街のおしゃれな店。男1人はけっこう勇気がいる(笑)。そして目についた10個入りのマカロン、おしゃれなケースがついて3150円。高!(笑)しかし、食べることで頭がいっぱいだったので、ためらうことなく購入。その日の夕方、とある集まりがあって、夕食の後みんなで食べた。

 食べた瞬間、口の中に最上級の歯ごたえと味、香りが広がった。こんな美味しいものがあったのか。食材はもちろん、作り手の情熱や愛が伝わってくるお菓子だ。何故か今までジャンクフードを食べてきたことを懺悔した(笑)。

 食べた人が例外なく笑顔になるピエール・エルメのマカロン。最寄り駅である池袋の百貨店にも店を出していて、友人への差し入れや、自身がエネルギーを補充したいときに購入している。

最高のお菓子に出合えたことに感謝。

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『こころ』

 日本を代表する作家、夏目漱石の著書。誰もが知っている名作で、高校の国語の授業でも取り上げられているほどだが、全編通して読んだのは30歳になってからだった。

 明治末期、「私」という帝国大学(東京大学の前身)の学生が、卒業を間近に控える中、「先生」という無職の男性に生きる意味を教えてもらうため、交流を深めていく。「先生」は、過去のある事件がきっかけで、人間すべてを信用できなくなっていた。「私」は、それを知りたいがために、「先生」やその奥さんに働きかけていくが、それは「先生」からもらったある「手紙」で、思いもよらない形で知ることになる―。

 上・中・下の3部構成となっている同作品。高校時代に読んだのは下だけだったが、通して読むと、人間が陥りがちな自己中心的な心理を、恋愛や家族関係をテーマに鋭く描いてることが分かる。

 エゴイズムの元となるのは、おおよそ嫉妬、恐怖といった負の感情だ。人間ならば少なからず「心当たりがある」と思わせる心理描写は、読むものを物語の舞台に誘ってしまう。夏目漱石の才には脱帽せずにはいられない。

 今まで見過ごしてきた本物の価値を、10年以上経った今、発掘することができた。感謝。

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新ブログ立ち上げました。

新しいブログを作成します。

タイトルの鉱(あらかね)とは、鉱脈から掘り起こしたばかりで、精錬する前の金属のことです。世の中にあふれる本物の鉱脈を掘り起こしていきます(^^)

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